EasiaPT blog

東アジア青年交流プロジェクトのブログ

日中民衆交流の可能性と課題

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2013年8月2日 大阪市大社会人大学院公開シンポ

 講師は昨年『中国の市民社会』(岩波新書)を著した李妍焱教授。

 日中市民社会ネットワーク(CSネット)の代表として中国と日本の市民社会をつなぐ活動をしています。中国吉林大学外国語学部卒業後は共産党中央の対外連絡部で働く「エリート」組だったとか。

 中国政府は市民社会という言葉に敏感で「公民社会」と呼びます。NGOを中心とする中国市民社会の活動は反権力・反体制に基づくものではなく、行政を補完するかたちで社会のニーズに応え人々の社会参加の機会を与えています。90年代半ばにはじまった第一世代の運動は環境汚染や流動人口問題に対処すべくカリスマ的リーダーと海外資本に頼りましたが、現在は80年代以後の「八零後」世代がネットを使い国内企業から集めた基金で動いています。例えば、農民工への賃金不払い解消を求めるNGOや知的障がい者の就労援助のNGOなどです。

 広東省で核燃施設の建設を止めた運動などは「避隣運動」と呼ばれ、地域の住民が大挙して動いて行政判断を撤回させましたが、NGOの意図とは必ずしも一致していません。今後、中国で市民社会の活動がどう存在感を示すのか、第一世代の運動をいかに継承していくのかなど、日本の現状とも照らし合わせて興味を惹かれました。