EasiaPT blog

東アジア青年交流プロジェクトのブログ

台湾の青年政治運動

f:id:easiapt:20131008204102j:plain       張智程さん(台湾国立政治大学法律研究所修士)

――台湾の民主運動はどう展開されていますか?

反メディア独占のデモがおこなわれたり、主要大学で学生ユニオンを結成したり、都市公社による住民強制退去への抗議活動、反原発運動などが盛んです。反メディア独占運動は、新中路線の旺グループが新聞やケーブルTVで中道リベラル路線をとるメディアの買収合併を進めたことへの抗議です。1月に台北で15万人デモをやり、馬英九政権から買収認可の撤回と買収規制法の検討を引き出しました。運動の中心は80年代生まれの学生です。90年の三月学運民主化闘争をやった野ユリ世代にちなみ野イチゴ世代と自嘲をこめて名乗っています。

――民主運動のなかで学生が活躍していますね

2010年に組合法が可決、翌年施行され、121月に台湾大学工会という組合(学生8割・職員2割)をつくり賃下げに抗議しています。しかし地方政府労働局が、学生は労働者でないと組合を認可しなかったので行政訴訟を起こし、今年4月にようやく認めさせました。1500人の学生と50人の教員を抱える学部で正規職員はたったの5人、それ以外は秘書も含めて非常勤と学生です。わたしのいた政治大学では学生賃金が100%カットされています。学費すら払えません。組合結成の動きは他の三大学でも学生を中心に進んでいます。

――民主的な法がつくられても市民社会への圧力は強いのですか?

日本が輸出した台湾第四原発も、国民投票をすると何度も言いながら実施されていません。政権は国民投票の無効を狙っています。過半数が反対しても原発は建設すると言った大臣もいます。政権の新自由主義政策と住民が対立しています。その顕著な例が台北市中心の華光社区問題です。ここは日帝時代総督府刑務所の跡地ですが、戦後は眷村として国民党の軍人や家族が住んだ地区です。いまは高齢者や南部の移住者が住む貧しい地域なのですが、ここを台湾のウォール街にしようと企む政府は住民の不当利得を告訴し3月に強制退去を迫りました。学生たちは座り込み抗議をしました。いまは住民が国を訴えています。

 

話を聞くまで台湾は「親日派」という程度の理解でした。新自由主義に対抗する民主運動が盛んなことに驚き、台湾の高卒者が毎年5万人大陸に進学し、大陸の大学から毎年2千人が台湾留学していることも初めて知りました。2014年には兵役もなくなるそうです。日台の労働運動・平和運動の交流をもっと深めたいです。