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東アジア青年交流プロジェクトのブログ

中国の自然エネルギー(世界一の風力発電) 知足章宏さん講演録②

①からのつづき

その他の再生可能エネルギーでは太陽熱温水器の設備容量も世界一です。雲南省昆明市は建物の屋上が太陽熱温水器で埋め尽くされています。高層建築物には建築一体化でほぼ義務付けられています。拒否すると理由を報告しなければいけません。電気代を節約できるというメリットと、温水器の企業を昆明市の成長産業にしたいという計算があります。さまざまな補助金があって農村地域にも普及していて、日本よりも低価で購入できます。

 

中国の大気汚染は激化していますが、まだマスク性能が悪いです。2013112日には、北京市内におけるPM2.5の平均濃度が700μg/㎥(中国の環境基準の10倍、日本の環境基準の20倍近く)にまで達しました。日によって程度は違うのですが継続して発生しています。自動車が多すぎるのですが対策がうまくいっていません。最近ではナンバープレートの末尾ナンバーで判断して、半数の自動車の走行を禁止する措置も出ました。

ひどい日には、北京市の空気質量日報予報では多くの区域が厳重汚染と示され、子ども、老人、心臓疾患や呼吸器系疾患を抱える人への長時間の外出を控える警告まで出されます。排出源は自動車の排ガスが22%、発電所などの石炭燃焼が17%、揮発性有機化合物が16%、建設現場の粉塵などが16%、農村部での藁の焼却が4%とされ、25%は河北省など北京市域外由来とされています。北京でだけ対策をとってもだめです。

何もしていないわけではありません。大気汚染防止法をつくったり、排ガス規制法をつくったりしています。それでも執行しきれていないように思います。問題が顕在化したのは、2011年末に米国大使館内のPM2.5測定値が流出してからで、市民の不満や関心が高まり測定結果が公表されるようになりました。自動車の走行規制もしていますが、もともとの台数が多くてうまくいっていません。企業の生産停止措置を発動したこともあります。実際のところは確認できていませんが。独自に測定し、公表するNGOも出ています。

改善を阻んでいる課題は、自動車に関しては、ガソリンの質向上のために国有石油会社との調整が必要であること、石炭に関しても同様です。排出規制に関しても、企業が出すデータが不正確なので総量規制が意味をなしません。汚染物質排出に対して課す課徴金は、当局と企業による協議によって本来徴収されるべき金額からかけ離れ、裁判になったケースもあります。まだ人々の意識が低いので、そこが改善されなければならないでしょう。