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EasiaPT blog

東アジア青年交流プロジェクトのブログ

尖閣諸島を考える 孫崎享さん講演録①

講演録

 

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いまの日本は怖い時代に入ってきた。『少年H』に「おかしいことをおかしいと自由に発言できなくなった」という一節がある。これは戦前の日本の話だけではない。いまの日本、特に脱原発の運動への弾圧がそうなっている。「世界がギシギシ音を立てて崩れているときにファンタジーを作りつづけることには無理がある」と宮崎監督は言った。原発再稼動に向けた安全審査を拒んだ新潟県の泉田知事が「自分が何かで死んでもそれは自殺ではありませんから」というようなことを言わなければならない時代。『はだしのゲン』の閉架問題は、残虐なシーンがあるという理由で教育委員会が冷静に判断したからではない。在特会のメンバーが松江の教育委員会などで閉架図書にするよう脅したから。政治家はそれを知って蓋をしている。

「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき、わたしは声を上げなかった・・・そして彼らがわたしを攻撃したとき、わたしのために声を上げてくれる人は誰もいなかった」という話がある。原発、TPP、次から次へと攻撃されつづけている。わたしも国会の予算委員会でTPP推進に反論したらNHKに出演できなくなった。そのときに守ってくれる声はほとんどない。「意義を唱える者がおかしい」と扱われたら危険。一番おかしいことを言っているのは安倍首相ではないか。「福島の放射能汚染が完全にコントロールされている」「消費税を上げて法人税を下げるがそれは企業のためではない」など全部ウソだ。それなのに格好のいい言葉にみんな踊らされている。その代表格が尖閣問題。

 

中国に行ったときに尖閣問題で何を言えばいいか。「棚上げにする」と言えば解決する。しかしそれを言えば日本で袋叩きにあう。だからどの政治家も言えない。はじめに、世界が中国をどう見ているか、日本が中国をどう見ているか考えたい。経済成長で中国が米国を追い抜くと思うか否か。日本で質問するとだいたい28の比率で追い抜かないとなる。世界で質問するとどういう結果になるか。2009年、中国が米国を追い抜くと答えたのは、フランス55%、ドイツ51%、イギリス49%。一方、日本の59%、米国の57%は追い抜かないと答えた。ところが、2011年に同じ質問をすると、フランス72%、イギリス65%、ドイツ61%、米国46%の人々が、中国は米国を追い抜くと答えた。日本だけが60%の人々が追い抜かないと答えて、世界の見識と違う反応を見せた。衝撃的な結果。

米国の国防省は中国を緻密に分析している。日本では客観的なデータに頼った書籍が少なく、日本の「対中国」関係は完全に孤立している。1970年‐2010年の主要国工業生産高のグラフがある。2005年に中国が日本に追いつき追い越し、2010年に米国に追いついている。この間、日本はほぼ横ばい。多くの人の中国認識は2005年以前のまま止まっている。中国はたいしたことないと誤った認識のもと見下している。日本は中国と戦えば勝てる、または米国が出てくると思っている。だが実際にやれば完膚なきまでに敗北する。


②へつづく