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東アジア青年交流プロジェクトのブログ

平和の灯を!ヤスクニの闇へ2013キャンドル行動

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2013年8月10日 在日本韓国YMCA

  今年の催しは、過激な妨害行動が予想されたため会場探しに大変苦労されたようです。在日本韓国YMCAが会場となったことを情けなく思いました。会場は満席になり上階で同時中継を見ていました。韓国の遺族、フィリピンの被害者を聞くたびに何度この証言をさせなければいけないのかと、日本の対応の不誠実さが胸に刺さります。

 

  韓国の民衆歌手とともに韓国の留学生が壇上で歌ったコンサートの後、キャンドルを持って街頭に出て平和行進をはじめました。すると縦横無尽に暴走する妨害目的の街宣車が大音量のマイクで遺族や被害者に暴言を浴びせ、行進の列に横から加速させて突っ込んできます。あたりは何十台という黒塗りの街宣車と機動隊だらけの物々しさで、ヤスクニの闇がいっそう深く現代に浸透しているさまを見せつけられました。小さなキャンドルの灯りがもっとたくさん必要でした。解散地点で参加者をねぎらう韓国遺族の姿を見ながら唇をかんで、レイシズムにもナショナリズムにも抵抗していく決意をあらたにしました。

日中民衆交流の可能性と課題

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2013年8月2日 大阪市大社会人大学院公開シンポ

 講師は昨年『中国の市民社会』(岩波新書)を著した李妍焱教授。

 日中市民社会ネットワーク(CSネット)の代表として中国と日本の市民社会をつなぐ活動をしています。中国吉林大学外国語学部卒業後は共産党中央の対外連絡部で働く「エリート」組だったとか。

 中国政府は市民社会という言葉に敏感で「公民社会」と呼びます。NGOを中心とする中国市民社会の活動は反権力・反体制に基づくものではなく、行政を補完するかたちで社会のニーズに応え人々の社会参加の機会を与えています。90年代半ばにはじまった第一世代の運動は環境汚染や流動人口問題に対処すべくカリスマ的リーダーと海外資本に頼りましたが、現在は80年代以後の「八零後」世代がネットを使い国内企業から集めた基金で動いています。例えば、農民工への賃金不払い解消を求めるNGOや知的障がい者の就労援助のNGOなどです。

 広東省で核燃施設の建設を止めた運動などは「避隣運動」と呼ばれ、地域の住民が大挙して動いて行政判断を撤回させましたが、NGOの意図とは必ずしも一致していません。今後、中国で市民社会の活動がどう存在感を示すのか、第一世代の運動をいかに継承していくのかなど、日本の現状とも照らし合わせて興味を惹かれました。

設立あいさつ(代表・服部良一)

 いま、日本の政治が非常に右傾化し、平和リベラル政治勢力が衰退しています。国会だけでなく、領土問題によって若者を含む民衆の意識が民族排外的になっています。若者はというと、非常に厳しい雇用環境のなかで使い捨てにされ貧困の連鎖から抜け出せない者が増えています。その不満が公務員へのねたみや在日外国人などマイノリテイへの攻撃に向かうのではないでしょうか。

 

 若者たちにどんな日本を残せるだろうかと真剣に考えています。前提として、アジアとの不戦の約束である憲法9条、憲法前文の平和主義を残さないといけない。そして、次世代の政治を担うため、若者には東アジアの平和と歴史に正面から向き合って欲しい。これは頭で考えるだけではだめで、実際に顔を合わせて話し合わないといけません。そのために、東アジアの5つの<国・地域>の相互訪問を軸にした企画をやろうと思い立ちました。

 

わたしの世代は、「戦後民主主義」と「高度成長」を享受してきた世代です。いまのままでは、「格差貧困社会」と「戦争のできる国」を将来に残すことになりはしないか心配です。このプロジェクトは、青年主体のプロジェクトであると同時に、青年を応援するプロジェクトとして、わたしたち世代も真剣に応援するプロジェクトにしたいんです。

 

東アジアの平和構築の課題は対米政策抜きには語れません。米国とのかかわり方、距離のとり方をどうするかです。ひいては沖縄に負担を集中させている米軍基地をなくせるかどうかです。朝鮮半島の統一や、中国・台湾の両岸関係の行方は最重要課題です。村山・河野談話を継承し、戦後補償や靖国参拝の問題から目をそらさず、領土問題の解決策を導くことのできる日本にしたい。

 

それに、若者の雇用を考えるなら経済構造やライフスタイルの転換も必要です。その鍵の一つがエネルギー革命です。原子力や化石燃料から再生可能エネルギーへと転換する過程で、第一次産業をもっと大事にして地域を活性化する、新たな雇用を生み出して過度な競争をしなくていいようにする。経済の相互依存が深まるなかで、東アジアの共通課題として浮上してくる話だと思います。

 

 東アジアの平和構築、雇用問題をはじめ新自由主義政策に対峙する政策、環境政策などで議論を深めれば信頼関係ができるだろうし、それは日本が東アジアで生きていく唯一の道筋だと思います。